天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
『そなたの側にいたいからだ――前の生の記憶を持つ者よ』

 ふわりと現れた精霊は、ミリエラにそう願う。

「あなたの名前は、エリアス。風の精霊、エリアス……素敵でしょ?」

『――契約は、成立した』

 エリアスと名づけられた風の精霊が重々しくそう言った瞬間――ドーン! と激しい爆発音がした。ミリエラの周囲で突風が荒れ狂い、髪もスカートもばさばさとはためく。
ミリエラの周囲を吹きすさぶ風は、いつまでたってもやみそうになかった。髪もスカートの裾もばさばさと翻り、風の強さに目を開けることもできない。

 エリアスの声以外、風の音は消されてしまうそんな中。

「――ミリエラ! ミリエラはどこだ?」

 不意に耳に届く、今まで聞いたことのない男性の声。

 視界が鮮明になってくると、土ぼこりの向こう側にひとりの男性が立っているのが見えた。
 その瞬間――世界中の時が止まったような気がした。

「……パパ?」

 ミリエラの口から茫然とした声が漏れる。

 そこに立っていたのは、生まれてから一度も会ったことのない――肖像画でしか見たことのない――父だったのだから。

「……アウレリア?」

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