まっすぐで、優しくて、時には優しすぎて、それでも、ミリエラを守るためならどこまでだって狂暴になれる人。それがミリエラの父親だ。

「あとね、パパ。ミリィはパパのことが大好きだよ――だから、領地に帰ったらたくさん新しい魔道具を作ろうね」

 父のあとを継いで、立派な錬金術師になるという宣言。

 ふたりの間に、余計な言葉は必要なかった。

 さらさらと吹き抜ける風が、花の香りを巻き上げる。優しいだけではなく、どこか郷愁を呼び起こすそんな香り。

「そうだね――ミリエラ。いや、ミリィと呼ぶべき……かな……」

 不器用な父が、そうこわごわと口にするから。

 満面の笑みを浮かべて元気よくうなずく。

 愛してるなんて、言葉にしなくてもちゃんと伝わっている。

「もちろん! ミリィって呼んでくれたら嬉しいよ!」

 こうしてミリエラは、新しい世界で、新しい家族と、新しい愛を掴んだ。