季節はめぐり――春から初夏へと移ろうとしていた。

 グローヴァー侯爵邸では、朝から慌ただしく使用人達が動き回っている。

 そんな中、本日の主役であるミリエラは、真っ白なドレスを着せられ、ちょこんと椅子に座っていた。汚してはいけないから、主役は椅子から動けないのである。

「つまんない」

 ぽつりと零すと、足もとからくすくすと笑い声がする。ミリエラの足元にうずくまったエリアスは、大きくあくびをした。

「そう言うな。人間は、生まれた日を盛大に祝うのであろう?」

「そうなんだけどさ。エリアスがそこに転がってるのはびっくりだよね!」

 ミリエラは、今日、六歳になろうとしていた。

 王宮から戻ってきて数か月が経過し、背が伸びて、去年より少し大きくなった。

 ディートハルトは、父の弟子となり、立派な錬金術師になるための修業を始めた。ミリエラの方が先に弟子入りをしたので、なんと弟弟子ができたということになる。

 カークは、というと今まで以上に剣の稽古に打ち込んでいる。

 王宮でまんまとミリエラが誘拐されてしまったのを今でも悔やんでいるらしい。