天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 スライム退治に行くことのできるようになったカークと、それにお付き合いしたディートハルト。ブレスレットに仕立てたのは、ディートハルトが職人に頼んでくれたそうだ。

「嬉しい。大事にするね!」

 本物の宝石と同じくらいキラキラとしているスライムの魔石は、大切な宝物になる。

 この世界に生まれ落ちて、家族には愛されないと思った。

 けれど、ミリエラに愛情を注いでくれた人達はいて、今日この日を迎えようとしている。

「今日は、ミリィの誕生日に来てくださってありがとうございます――ミリィは、皆のことが大好きです!」

 ここに集まっている皆を、ミリエラは愛している。

「だから、皆に見ていてほしい。ミリィはいつか、パパみたいな立派な錬金術師になって――そして、空を飛ぶの!」

 ミリエラが宣言すると、わっと歓声があがる。
 父の愛がほしいと思っていた。ただ、それだけのはずだった。
 でも今はそれだけじゃない。ミリエラを愛してくれるたくさんの人達と新しい夢を目指したい。
 ――きっとそれが、ミリエラがこの世界に生まれた理由だから。

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