天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 と、エリアスを別館に招き入れたかと思ったら、窓際に毛足の長い敷物を広げる。そこが、エリアスの指定席――もちろんどこに行ってもいいのだが――だそうだ。子供達には、ココアが用意される。

「さあさあ、精霊王様、こちらにどうぞ」

 満面の笑みを浮かべながら、ニコラはエリアスを敷物の上にいざなう。いつの間にか、彼女の手には、大きなブラシがあった。

 ごろんとエリアスがそこに身を横たえると、せっせとブラシをかけ始める。

「まぁ、ふわふわの毛並みが本当に素敵」

「そなたのブラッシングの腕もなかなかのものだ」

「光栄ですわ」

 長々と寝そべり、ニコラによってブラッシングされているエリアスはものすごい満足気だ。喉がゴロゴロ鳴っているのは、猫に近い性質ってことなんだろうか。

「ニコラ……なんで、お前精霊王様に普通にしてられるんだよ」

「母上、食われないのか?」

 ちょこんとミリエラはソファに座り、ニコラの用意してくれたココアをちびちびちと舐めていた。

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