消えた未来
第一話
 あの日、つらくてどうしようもなかった私へ。

 私の今は、とても楽しいです。

 生きてくれて、ありがとう。


  ◆◇◆


 その名前は、私たちの学年というより、学校内で有名だった。

 久我侑生。

 見た目が派手で、よく先生に怒られている。悪い噂もつきない。いわゆる、不良生徒。

 そんな不良生徒が同じクラスなだけではなく、私の後ろの席だとわかったのが、今日の話。

 今日は二年に進級してクラス分け発表があって、楽しみにしていたのに。こんな展開は聞いていない。

「真央……」

 座席表を見て固まっていたら、幼なじみの星那(せな)がわかりやすく言葉に困っていた。

 私はそんな星那に泣きつくように、星那に抱きついた。

「星那が同じクラスでこれから一年楽しみだったのに……全然嬉しくない……」

 星那は優しく私の頭を叩いた。

「でもほら、そんなに学校に来ないって聞いたことあるし、大丈夫じゃないかな」
「だけど、来たら生きた心地がしないやつだよ……」

 こんな愚痴は星那を困らせるだけだってわかっているのに、言わずにはいられなかった。

「まあ、運がなかったね」

 顔は見ていないけど、星那が苦笑いしながら言っているのがわかった。

 さすがにこれ以上は本当に迷惑になる気がして、星那から離れる。

 でも、気分が回復したわけじゃない。無意識にため息が出た。

「自分の名前を恨む……」

 あまり座席表の前を陣取っていたら他の人の邪魔になるから、亀のような速度で自分の席に向かう。

 廊下側の、後ろから二番目。彼が一番後ろだ。

「さすがに四月の間は席替えもないだろうし……我慢するしかないね。休み時間は遊びに行くし、元気だして」
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