消えた未来
第十二話
 久我君に会えないという現実を受け入れられなくて、私は久我君を探した。

 高瀬先生に会わせてほしいと頼んでみたり。

 加野先生に久我君が辞めた理由を聞いてみたり。

 久我君のバイト先である喫茶店に行ってみたり。

 そこで久我君のことを聞いてみたり。

 どれも、不発だった。

 誰も、なにも教えてくれない。

 久我君に会えるまでは諦めないと思っていたけれど、さすがに二週間も変化がないと、心が折れる。

「真央……大丈夫?」

 何度目かわからない、高瀬先生からの「しつこい」発言に心を抉られながら教室に戻ると、星那が心配そうに近寄ってきた。

 きっと、ほかに言いたいことがあるだろうに、言葉を選んでくれたのは嬉しい。

「大丈夫じゃない」

 自分の席につくと、額を机にぶつける。

 まさに、撃沈状態だ。

 ここで大丈夫だと見栄を張れるほど、私のメンタルは強くない。

「久我の奴、真央を傷付けるだけ傷付けて、どこに消えたんだろう」

 横を向いて星那を見上げると、星那は私の後ろを見ている。

 私は重い体を起こし、久我君の席だった場所を見つめる。

 誰も座り手がいないその場所は、賑やかな教室に存在するには異質のようだ。
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