消えた未来
　答えてほしいけど、知りたくないという気持ちを抱えながら、久我君の言葉を待つ。

　久我君が目を見開いて驚いているように見えて、余計に怖くなる。

「それだけ？」

　だけど、久我君は私の質問には答えてくれなかった。

「それだけって？」
「それしか聞いてない？」

　どうしてそんなことを確認してくるのかわからないまま、頷く。

　すると、久我君は噴き出すように笑った。

　今の、どこに笑う要素があったのだろう。

「あれはちょっとした脅しみたいな感じで、大げさに言われただけ。無茶する奴に死ぬ気かって言う感じ」

　笑いながら言っているけど、なにかを隠しているようにも見えて、信じられなかった。

　前に久我君を追ったとき、保健室の先生は久我君の体調を一番に聞いていた。

　加野先生も、久我君の体を心配するようなことを言っていたような気がする。

　そうだ。

　あのとき、先生がなにかを言おうとして、久我君が遮っていた。

　久我君は、病気を隠している……？

「その顔。織部さん自身が求める答え以外は信じませんって言ってるみたいだ」

　そんなことはないとは言い切れなかった。

　現に、今の久我君の「大げさに言われただけ」という言葉も、あまり信じられていない。
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