想いのままに心のままに ~結婚より仕事の30女が身ごもりました~
見えない暗闇
いざという時、恵理が動揺していると宏貴は冷静になる。
待合室で医師の準備ができるまで待っている間、長く長く感じる二人。

「大丈夫」
何度も宏貴が繰り返しながら、隣に座る恵理の手を握った。

「美園恵理さん」
看護師に呼ばれて、宏貴は恵理が立ち上がるのを支える。
「・・・一緒に・・・」
あまりの不安で真っ青な顔色をしている恵理が宏貴の手を離さない。

「美園さんの了承があれば、診察室に一緒に入ることができます。先生にはこちらから伝えますね。はじめは内診なので、入室できませんが、内診が終わったら診察室にお呼びします。」
看護師に言われ、恵理は手を離し内診室に入っていった。

恵理の前では動揺を見せないようにしていた宏貴。
でも、不安なのも怖いのも恵理と同じだ。
< 151 / 263 >

この作品をシェア

pagetop