タングルド
<絡みつく感情>
秘書室に行くには総務課のフロアーを通らなくてはならず、目があっても合わなくても佐藤さんに何かしらの嫌味を投げかけられていた。
だから、佐藤さんのデスクが目に入らないように通過するという技を習得したのだが、あれ以来静かな気がして佐藤さんのデスクをチラリと見てみると、そこには




給湯室の女が座っていた

驚いて二度見したら、給湯室の女が慌てて目線を逸らした。

佐藤さんと給湯室の女がトレードされたってこと?佐藤さんが営業部に移動になったのかしら?秘書課に行きたいと何度も申請していたくらいだから総務部から離れるのは嫌だったかもしれない。
まぁ、彼女のことだからどこの部署からでも申請をするだろうから、もう考えるのはよそう。
ただ、短絡的に有る事無い事噂を拡散させるような人間には人をサポートする仕事は向いてないと彼女自身が気づくまでは無理だと思うけど。


常務にスケジュールの確認をする。

「豊田くん14時から急遽予定が入ったから車を頼む」

「かしこまりました」
軽く会釈をして自分のデスクに戻るとセキュリティセンターへ連絡した。

セキュリティセンターはISLANDの警備と整備そして配車など縁の下の力持ち的な部署になる。

「SCの佐藤です」

ん?この声

「秘書課の豊田です。13時に一台お願いします」

「わかりました一台ですね」

「よろ」
ツーツーツー
  「しくお願いします」
って、通話切れてるし。
こんな失礼なことする佐藤ってやっぱり彼女よね?
大丈夫だろうか?
佐藤さんの私に対する態度は常軌を逸している、もし車を用意していなかったら常務の時間を無駄に消費させてしまうし、それでスケジュールに遅れが出れば常務だけでなく、会社の信用問題になる可能性だってある。

佐藤さんには悪けど

セキュリティーセンターの車輌部主任への直通ナンバーへかけた。

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