キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です

三人暮らしは快適です


***

そんなこんなで始まった私たち三人の共同生活。
智成の住むマンションは一等地にある高層マンションの二十四階にあり、コンシェルジュまでいる高級マンションだった。
親の持ち家らしくここでひとり暮らしてるとか、智成はセレブ育ちらしい。インテリアもダークウッドを基調に洗練されててどれも高級そうだ。
さすが生まれながらのセレブは持つ物が違うよね、と言ったら智成は嫌そうな顔をしていたけどそれくらいからかってもいいでしょ。羨ましいんだもん。
部屋の中も二十畳はあるリビングに主婦が喜びそうな機能的な対面キッチン。そしてジャグジー付きの広いお風呂には感動した。
四つある部屋の一部屋を貸してもらい、ベッドも早々に買って、実家から用意しておいた荷物を送ってもらい、長居するつもりはないと言いつつ私の部屋は着々と出来上がってきた。
無職の私は居候させてもらう代わりに食事の用意と掃除洗濯と家事を請け負った。
でも智成なんて何でもそつなくこなして出来ないことなんてないみたい。
洗濯物を散らかすお兄ちゃんと違って私がお世話する必要がないくらいきちんとした生活してる。
食事だけは忙しいふたりのこと、あまり自炊をしてなかったみたいで私の手料理を喜んでくれた。
「あ、意外にイケる」と、智成に言われた時にはうれしい反面、「意外とってなによ!」と突っ込んでやった。
二人が早く帰って来た日に、チャチャッとおつまみを作って三人で晩酌することになった。
智成、私、お兄ちゃんとソファーを背に床に座り、おつまみにうまいと舌鼓を打つふたりにふふんと得意げに笑って、お酒を飲み三人でくだらないことで馬鹿笑いしているのはとても楽しい。
酒豪のお父さんに似てお兄ちゃんと私はお酒に強い。けど、智成はそれほど強くないみたいでビール数杯も飲めば酔っぱらってすぐ寝てしまうらしい。
今も目が据わってもう眠そうな顔がちょっとかわいかった。

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