キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です

いきなりご挨拶です

パーティーが中盤を過ぎた頃だろうか。
人もだいぶ増え、賑やかさが増して著名人がすぐ横を通り過ぎて何度も驚き興奮しつつ、デザートまでしっかり堪能した後、あれ? そういえばと思い出す。
「ねえ智成、私に会わせたい人がいるって言ってたよね?」
「あ? ああ、まあな」
顔を顰める智成にはほんとは会わせたくないっていうオーラがひしひしと伝わる。
「え? 会わせたいとか言っときながら会わせたくないの?」
「いや、会ってほしいんだが、正直俺はあの人苦手なんだよ」
「ぶっ」
智成が憂鬱そうにつぶやくとお兄ちゃんが吹き出し笑いを堪えているのに驚く。
なんだかお兄ちゃんは智成が私に会わせたい人が誰なのか知ってるみたいだ。
「いったい誰なの? もう教えてくれてもよくない?」
私だけ何も知らないなんて不公平だと言わんばかりに智成をジトリと睨む。
観念した智成はため息交じりに白状した。
のはいいんだけど、その人物に耳を疑った。
「うちの会社の社長」
「え!?」
「と、俺の両親」
「はあ!?」
なぜ今? なぜ社長さんとご両親? なぜこのパーティーで? なんのために会うの!?
頭の中は大混乱で思わず智成から逃げるようにお兄ちゃんの腕にしがみついた。
「ちょ、茉緒? なんで陸翔にへばりついてんだよ」
「智成の言ってることがわかんない。なに? なんで? 意味わかんない」
智成は不満げに顔を顰め、お兄ちゃんは落ち着けとでも言うように腕にしがみつく私の手をポンポンと叩く。

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