キス魔な御曹司は親友の妹が欲しくて必死です
しかも智成のお父さんには嫌われているみたいだし、お兄ちゃんにも反対されてるし、面倒になった智成がいつ心変わりしてもおかしくない。
踏んだり蹴ったり、泣きっ面に蜂、とはこのことだ。
智成のこと好きなはずなのに信じられないなんて、私は智成のことそれほど好きではないんだろうか? 
自分の気持ちまでわからなくなって、一緒にいる将来が想像できなくて思い悩む日々が続き、ぼうっと考えてしまうことが多くなっていた。
「茉緒ちゃん浮かない顔してるけど大丈夫?」
「あ、はい。またぼうっとしちゃった。すいません」
いけないいけないバイト中なのにちゃんと仕事しないと。
たまたま店の様子を見に来ていた寛子さんの何か言いたげな顔に私は曖昧な笑顔を向け腕に抱かれる赤ちゃんを覗き込んだ。
「拓海くーん、今日はお目めぱっちり開いてるねえ」
クリクリの目が私を見てふわっと笑った気がしてうれしくなった。
智成と会わない間に喫茶マリンの奥さま寛子さんに赤ちゃんが生まれた。
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