「起きたんなら朝食にするか。
バルコニーで朝日を浴びながら取る朝食は最高だぞ」

大きく伸びをし、彼がベッドを出ていく。

「それは素敵ですね」

まだ落ち着かない鼓動を感じながら、私も彼のあとを追って寝室から出た。

身支度を終わらせる頃には朝食の準備が整っていた。
零士さんが言っていたシチュエーションも素敵だったが、それにさらにエッフェル塔が見える。

「最高です!」

興奮気味の私に零士さんが小さくくすりと笑い、頬が熱くなっていく。
椅子に座り直して小さくなり、クロワッサンをもそもそと食べた。
良家の子女なのに庶民っぽい反応をしてしまう自分が恥ずかしい。
しかしそういう世界との関わりをほとんど断って過ごしたひとり暮らし時代は得るものも多かったし、後悔はなかった。

「さて。
どれから回る?」

食事が済み、景色を堪能しながらまったりカフェオレを飲んでいた私の前に、零士さんがたくさんの封筒を並べる。

「これは……?」

「秋冬オートクチュールコレクションの招待状だ」

大きな手で覆うように零士さんが上げた、眼鏡のレンズに朝日が反射して得意げに光った。

「え……?」

もしかして、連れていってくれるの……?