気づけば君が近くにいてくれた
2*



教室を飛び出してからずっと早足で家まで帰ってきた。


疲れよりも早くここから立ち去りたいという気持ちでいっぱいで、息が上がって呼吸が苦しいと感じたのは家の玄関のドアが閉まってからだった。


たくさんの酸素を体に取り込もうと、呼吸をすると肩まで上がる。



「実桜ちゃん、おかえり」


「た、ただいま」



笑顔を浮かべているけれど、瞳はとても心配そうに私を見つめる昭子おばあちゃんが出迎えてくれる。



「学校はどうだった?」



重いカバンを床におろし、靴を脱いでいると、少し遠慮気味に問いかけられる。


背中越しにでも、昭子おばあちゃんの複雑な気持ちが伝わってくる。


心配だから確かめたい。

でも、こんなことを聞いても大丈夫だろうか。


きっとそんな感じだろう。



「久しぶりの学校で疲れたからちょっと部屋で寝るね」


「そうかい。お腹すいたら降りといでね」


「うん、ありがとう」



上手く笑顔で返すことができていたのかは、わからない。


昭子おばあちゃんは必要以上に私の心には踏み込んでこない。


そんなことに感謝しつつ、2階の自分の部屋へ戻り、制服のままシワなんて気にせず、ベッドの上に倒れ込んだ。






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