合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

氷の美姫(六)


「そうですね、確かに、前と後とでは全然評価が違いますね」

「惚れたか?」

「また、キース様はそんなことを。惚れていません」

「あー、それは残念。さ、ゴミを捨ててくるから貸してくれ」

 しゃべりながら食べ進めるうちに、確かにキースの用意した食べ物は全て綺麗になくなっていた。

 私が食べきれない分まで、キースがパクパク食べていたのだ。

 あの細い体のどこに入っていくのか、少し不思議に思う。

「案外、グレンの見立て通り、妹はソフィアのことが逆に羨ましいのかもしれないぞ。だから、わざと悪口を言っているのかも。いっそ、ソフィアも妹のことがかわいくて大好きーとか言ってみたらどうだ?」

「え……、いや、それはさすがに」

「だったら、せめて褒めてみるとか」

「それなら、出来そうな気もしますが」

 キースに手を引かれ、立ち上がる。

 確かに今まではほとんどミアを相手にしてはこなかった。

 相手にすれば、付け上がってヒートアップすると思っていたから。でも、もしそうじゃないなら。

 私を羨ましく思って、憎らしいと思っているなら、キースの言うように褒めるくらいは出来ないこともないだろう。

 どうせこれ以上、悪化しようもない関係性なら、何かやってみるのも悪くないと思えてきた。
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