合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

氷の美姫(七)

「そうですね、一度やってみます」

「また、結果を聞かせてくれ」

「はい」

「さて、お腹も満たしたことだし、買い物に行きたいところなんだが」

「どこか行きたいところがあるんですか? いいですよ。先ほども言いましたが、別に何か欲しいものがあったわけでもないですし」

「いや、そういうわけにもいかないさ。なにせ、仕事を半分ももらってもらったんだから」

「そうですね、じゃあ、これは貸一つということで。今度何かあった時、お願い事聞いて下さいね」

「ああ、もちろんだ。ソフィアの願い事なら、なんでも叶えてあげるよ」

 そんな何気ないやりとりが、やはり私には心地いい。

 友達すらいなかった私には、恋なんてどういうものかは分からない。

 でも、こんな風だったら、それもいいのかもしれないと思う自分がいた。

 キースから二つ返事をもらうと、手を引かれたまま歩き出した。
< 102 / 211 >

この作品をシェア

pagetop