合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

どこかおかしな姉妹(二)


 今回の質問にしてもそうだ。魔物をどう思うかというのは、あくまで主観について聞いているようで、おそらくそんな簡単な答えをキースは望んでいない。

 自分の性格を棚に上げるのもどうかとは思うが、キースに付いていく人間は何かと大変だろうなと、心でため息をつく。


「質問の意図がイマイチ分かりませんが、討伐対象であり、人や生態系に害をなすものという答えでいいですか?」

「普通、そうだよな。普通は」

「で、勿体ぶらず、何なのです。貴方が欲しかった答えは」

「ソフィアが肉だと言うんだ」


 キースは椅子に腰かけたまま、子どもの様な笑顔を向けてくる。

 それにしても、魔物が肉……。

 これはまた、なかなかの返しだな。


「抽象的すぎて、意味が分かりません。肉とは、食べる肉のことですか」

「ああそうだ。頭や尻尾を切って皮を剥いだら肉だから、魔物も食べられるんじゃないかというんだ」

「それはまた……随分突拍子もない話ですね」


 言われてみれば、確かに肉と言えば肉だ。

 ただ、今まで魔物を肉という発想がなかった。

 魔物は所詮、魔からなる不浄な物と考える方が一般的だろう。

 それを食べるなんて、冒険者ならまだしも貴族の令嬢がどうやったらそんなことを思いつくのだろうか。

 相変わらず彼女も、興味深い。
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