合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

魔物料理(三)


 ギルドにはすでに20人くらいの人が集まっていて、やや打ち上げ会のような雰囲気になっていた。

 私とルカが入ってくるなり、そのにぎやかな室内に歓声が上がる。

 えっと、私はここへ何しに来たのだろうか。

 一瞬、入ってくる場所を間違えてしまったかのような錯覚を覚える。


「お、お嬢様、これはどんな感じなのですか?」


 私の横にぴったりくっついたルカが、小さな声で私に尋ねた。

 私もそれが聞きたいのだが、ルカはこんな場所になど来たことはないだろう。

 かくいう私も2回目でしかないのだが。


「ソフィア嬢、来てくれたか」


 手を上げながら、一際大きな男性が奥の部屋から出てくる。

 ギルド長だ。

 彼を見るなり、冒険者たちは少し静かになった。

「いえ、急ぎ頼んでおいた品を用意して下さり、ありがとうございます。さっそく試してみたいのですが、どこかで調理出来そうな場所はありますか?」

「奥にキッチンがある。手伝いも付けるから、そこで作ってくれ。味見を待っている奴らが、これ以上うるさくならないうちに」


 ギルド長の言葉に、その場にいた人たちはにこやかだ。

 彼らはみんな味見に集まった人間らしい。

 どうりでお祭り騒ぎのはずだ。

 しかし彼らがわざわざ捕ってきてくれた魔物なのだから、一番に食べる権利は彼らにこそあるだろう。
< 124 / 211 >

この作品をシェア

pagetop