合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
魔物料理(三)
ギルドにはすでに20人くらいの人が集まっていて、やや打ち上げ会のような雰囲気になっていた。
私とルカが入ってくるなり、そのにぎやかな室内に歓声が上がる。
えっと、私はここへ何しに来たのだろうか。
一瞬、入ってくる場所を間違えてしまったかのような錯覚を覚える。
「お、お嬢様、これはどんな感じなのですか?」
私の横にぴったりくっついたルカが、小さな声で私に尋ねた。
私もそれが聞きたいのだが、ルカはこんな場所になど来たことはないだろう。
かくいう私も2回目でしかないのだが。
「ソフィア嬢、来てくれたか」
手を上げながら、一際大きな男性が奥の部屋から出てくる。
ギルド長だ。
彼を見るなり、冒険者たちは少し静かになった。
「いえ、急ぎ頼んでおいた品を用意して下さり、ありがとうございます。さっそく試してみたいのですが、どこかで調理出来そうな場所はありますか?」
「奥にキッチンがある。手伝いも付けるから、そこで作ってくれ。味見を待っている奴らが、これ以上うるさくならないうちに」
ギルド長の言葉に、その場にいた人たちはにこやかだ。
彼らはみんな味見に集まった人間らしい。
どうりでお祭り騒ぎのはずだ。
しかし彼らがわざわざ捕ってきてくれた魔物なのだから、一番に食べる権利は彼らにこそあるだろう。