合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
魔物料理(四)
「料理の腕はあまり期待しないで下さいね。でも、急いで作ってきますから」
冒険者たちの方を向き、首をかしげながらにこやかに微笑むと、歓声が上がった。
「みんな楽しみにしているから頑張らないとね、ルカ」
こんなにも魔物料理を楽しみにしてもらっているなんて、予想外だ。
これだけ期待が集まったのなら、気合を入れないと。
「ソフィア嬢はもしかして、無自覚か?」
「はい、お嬢様は全くの無自覚な上に、自己評価がとても低い方でいらっしゃいます」
視線を冒険者たちからルカたちの方へ向けると、いつの間にかルカとギルド長が仲良さげにこそこそと会話していた。
「全く困ったものだ」
「はい、全く困ったものです」
「え、何、なに? 二人でなんの話をしているの」
さっきから、じとっとした目で2人に見つめられている。
なんとも居心地の悪い感じだ。
無自覚と言われても、全く意味が分からない。
「奥ですね。さっさと始めましょう」
視線を無視し、そのまま奥の部屋へ進み出す。
とにかく今は魔物料理を完成させないと。