合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
閑話休題(三)
キース視点(一)
「私がいけないの? 私が……」
「ソフィア」
ベッドに横たわったまま、宙を彷徨うソフィアの手を握った。
その手はまるで氷のように冷たい。
強く手を握ると、数時間ぶりにソフィアがその瞳を開ける。
しかしソフィアの意識はまだ朦朧としているようで、手を握った俺を見たが視線は定まらない。
「……母さんはいつもあの子だけを可愛がった。二人で手を繋いで、楽しそうに歩くの。私はいつでも置いてきぼりで、構ってもらえなくて……。でもちゃんと自分で全部出来たら、偉いねって言ってくれる気がしてずっとずっと頑張ってたの」
「ソフィア? それは何の」
まるで昔話をするように、ソフィアが横を向いて話し始めた。
「父さんは家を全く顧みない人で、私たち二人とも可愛がることはなかった。でも私がすれば怒るようなことでも、父さんはあの子には怒らなかった。友達だって……あの子の周りにはいつも大勢の子がいた。いつもいろんな子に囲まれて、学校の中心にいたわ」
「……」
「私たちは同じなのに。同じなのに、何が違うの? 顔だって声だって全く同じなのに、なんであの子はみんなに愛されて、なんで私は一人ぼっちなの?」
「ソフィア、記憶が」