合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
24章
二人の時間(一)
「このまま今日は城に泊まっていかないか? 部屋を用意させるから」
「でも、父や母が心配しますので、今日は帰ります」
「それならば、ではせめて、家まで送らせてほしい」
「でも、それではご迷惑が」
「そんなことくらいで、何も迷惑になどならないよ。むしろちゃんと無事に帰れたのか確認しないと、俺が心配で眠れなくなってしまう」
「分かりました」
宿泊を断った以上、私の体を心配するキースをこれ以上無下にも出来ず、頷く。
「そういえば、グレンはどこに?」
倒れるまでこの部屋にグレンがいたことを思い出し、急に自分の行動が恥ずかしくなる。
「グレンなら君の家へ遣いを出した後、ミア嬢のいる領地へと向かったよ」
「まさか今回のことをグレンにも」
「話はしてある」
「そんな、ミアとの婚約は」
「破棄にはならないさ、今回の件は俺の落ち度でもあるから。ただ、何もなかったということにも出来ないとは思う」
「ミアのことが心配かい?」
「あの子はこの婚約をとても喜んでいましたから」