合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

合わせ鏡の呪縛(前)(二)


 それに私が倒れてしばらくしてから、グレンがミアのところへ向かったはずだ。

 それなのに、どうしてミアだけ戻って来たのだろう。

 いや、そもそも時間的にグレンとすれ違っってしまったのだろうか。

 しかし王都から領地までは一本道だったのはず。

 道が一本しかないのに、侯爵家の馬車に乗ったミアをグレンが気づかないなんてことは、絶対にありえない。


「グレンはどこに行ってしまったのかしら、こんな時に」


 そう言って、ふと違うことを思いつく。

 もしかするとミアは領地には戻っておらず、謹慎するフリをしてどこかの王都のホテルにでも滞在していたのではないか。

 ミアの侍女たちは皆ミアに妄信的だったし、領地での謹慎なんてと言っていそうだ。

 そう考えれば、ミアとグレンが会えなかったということも納得がいく。


「それで、ミア様が、今ご自身の侍女は皆解雇されてしまって誰もいないので、ソフィア様に部屋に来て下さらないかとおっしゃっているのです」

「それは、ソフィアに侍女の真似事でもしろということか」

「キース様、さすがにそれは考えすぎです。どうせ自分で私を呼びに行くのも面倒なので、きっとルカに伝言を頼んだだけだと思いわすわ」

「それにしてもだ。何も今日会う必要はないだろう。倒れたばかりだというのに」
< 172 / 211 >

この作品をシェア

pagetop