合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

合わせ鏡の呪縛(後)(三)

「でも、姉さま、わたしは」

 私はキースを見上げ、その場に降ろすように頼む。私の行動に関して諦めているキースは、そのままそっと降ろしてくれた。フラフラした足取りのまま、ミアの前に立つ。

「姉さま、わたしは本当に」

「……姉と呼ぶのは辞めてって、いつも言っているでしょう」

 私のその言葉に、ミアは大きく目を見開き、息を飲む。私が瑞葉だったあの日、瑞希に伝えた言葉だ。

「ソフィア?」

 私の発言の意図が分からないキースたちは、ただ首を傾げ様子を見守る。

「まさか記憶が……戻ったの?」

「戻っていたのよ。馬車の事故の時にね」

「それならどうして」

「どうして? そうではないでしょう。どうしてそれを告げなければいけなかったの?」

「だってわたしたちは」

「ねえ、ミア。瑞葉と瑞希だった私たちは、あの日二人とも事故で死んだのよ。そしてこの世界に、ソフィアとミアとして生まれてきた。どうして、それではダメだったの? どうしていつまでも過去を引きずろうとしたの」
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