合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
合わせ鏡の呪縛(後)(六)
鉄格子を握るミアの手の上に、私はそのまま自分の手を重ねる。
ミアがゆっくり私の顔を見つめた。
もう同じ顔ではなくなってしまった、この顔を。
私たちは同じ方向を向きながら全く逆の方法を選び、交わることなく生きていたのかもしれない。
自分を見て認めて欲しかった瑞希に、瑞希が羨ましくて眩しくて目を背けた私。
そしてそれはミアとソフィアになってからも、ずっと同じことを繰り返していたんだ。
「ごめんなさい、ごめんなさい。姉さま……グレン様……。ただわたしは寂しくて……みんなの中にいるのに、寂しくて」
誰からも好かれてみんなの中心にいる瑞希の姿は、誰かの理想を模した虚像に過ぎなかったのかもしれない。
そしてそれを演じる自分に、瑞希はずっと孤独を抱えていた。
この世界に転生したことでそれは更に増大し、寂しさから使用人たちに付け込まれたのだ。
でもだからといって、全てが許されるわけではない。
「だから、その瞳には僕だけを写して欲しいと言ったはずだよ、ミア」
グレンがミアに手を伸ばし、その頬に触れた。
ミアが視線をグレンに移す。