合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
合わせ鏡の呪縛(後)(八)
「ええ、あの日の約束です。ちゃんと1つ貸しにしましたよね? キース様は何でも私の頼みを聞いてくれるって」
切り札は効果的に使用しましょう。こんな日のために取っておいて、正解だった。
にこやかにほほ笑むと、キースは怒ったような呆れたような顔をした後、左手で頭を抱える。
「まあ大変、頭痛ですか? それならばすぐにでも宮廷医を呼ばないと」
わざとらしくキースにぴたりとくっつく。
「この頭痛の原因を、君の口から教えて欲しいんだが」
「そうですね、キース様。きっとそれは、姉妹喧嘩に付き合わされたからだと思いますわ。ですが妹とはもう仲直りしたので、さ、私たちはお部屋でゆっくり休むことにしましょう」
「ソフィア、それは」
何か言いたげなグレンに、後ろ手で手を振る。
おそらくこの件は使用人たちも絡んでいて毒まで持ち出した時点で、ただの姉妹の喧嘩では済まないだろう。
それでもキースはきっとあの日した約束を守ってくれるはずだ。
私がミアにしてあげられることは、ここまでだ。
あとは、出来ることならこのままその役目をグレンに任せたい。