合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
それぞれの道、そして(六)
「ちゃんとよく話は聞かないとダメだぞ、ミア。惹かれたのはそこでも、欲しかったものはミアの瞳。つまりミアがソフィアを切実に見つめ、追いかけている様ということだ」
キースの言葉にふと思考が停止する。
転生者というのは、グレンにとって気になるきっかけに過ぎず、むしろミアが欲しいと思ったのはあのある意味強烈な私を追う瞳に自分を映したかったということ。
「うわ、腹黒メガネだと思っていたけど、本当はちょっとグレンが危ない人だったなんて」
「キース、何をソフィアに吹き込んでいるのですか」
「だってホントのことだろう。あの瞳に自分だけを映して、ただ見つめて欲しいっていうのは」
「……グレンがヤンデレだったなんて……。やだ、ミアを助けないと」
「ちょっと、ヤンデレとはどういう意味なのですか。どう頑張っても、よい意味には聞こえないんですが」
「世の中には知らない方がいいことがいっぱいあるということね」
私はグレンから視線を外し、キースを見る。
しかし案外、ただ自分だけ見て欲しいグレンとミアは似た者同士なのかもしれない。
ふふふと私が笑うとキースも私の頭を撫でながら、笑い出す。
差し込む日差しはあの夏と同じ。
でも逃げ出したい思いはもうない。
大好きな人たちと、やっと自分の居場所を見つけることが出来たから。