合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

自己肯定感(ニ)


「この前、グレン様が言っていたではないですか。大事な話があると。きっと、お嬢様に婚約を申し込むために決まっています」

「それはないわね。私とグレンはよくて友達でしょ。一緒にいて苦痛ではないけど、今まで恋愛になんて発展しそうになったこともないわよ。意見がぶつかり合って、言い争いになったことなら何度かあるけど」

「お嬢様からしたらそうかもしれませんが、グレン様からしたら違うかもしれないではないですか。いつも側にいて、意見をし合い、いつしかかけがえのないものになっていた。みたいな?」

「そんなものかしら」

 お嬢様に直していただきたいところがあるとすれば、まさにここです。

 お嬢様は自己肯定感が低いというか、自分のことを分かっていらっしゃらないんです。

 国内でも稀有なアイスブルーのストレートの艶やかな髪に、夜を思い浮かべる濃紺の瞳。

 そしてとてもスラっとした体格に、わたしよりも豊満な胸、そして何より透明感のあるすべすべした肌。

 自慢ではないですが、こんなに美しい方は王都といえど見たことがありません。

 しかし、なぜかお嬢様はミア様といつも自分をお比べになり、自分の顔はキツイし愛想がないから他人から好かれないのだと言って聞きません。

「ミア様はグレン様と正反対すぎます。言い寄って、媚びを売るような令嬢は好みではないのではないですか?」

「まあ、それもそうだけど」

「とにかく、今日の主役はお嬢様なんですから、目一杯着飾りましょうね」

「いつも通りでいいと思うのだけど。それに、まだ主役と決まったわけではないのだから」

「お嬢様はいつも地味な恰好ばかりですので、たまにはいいんです。奥様からも申し付かっておりますから」

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