合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

前進(六)

 考え込む私を気にすることなく、ルカがテキパキと私が出かける用意を始めていた。

 昨日の豪華なドレスとは違い、街の人間も着ているようなワンピースを取り出す。

 濃紺で、丈もひざ下まであり私にはちょうどいい。

 金貨は使いづらいと言っていたので、とりあえず銅貨から銀板まであれば大丈夫だろう。

 適当な枚数を袋に詰め、あとは引き出しへ戻す。

「ワンピースなら着替えは一人で出来るから、ルカも出かける用意をしてきてちょうだい」

「はい、お嬢様。では、馬車の手配もしてきますので、そのままお待ちいただけますか?」

「ええ、頼むわ。いつもありがとう」

「いえお礼など。当たり前のことです」

「ふふふ。私が言いたいのだから、いいのよ」

 そう言ってほほ笑むと、ルカはとても幸せそうな笑顔を返してくれた。

 朝日の昇りきった空は、雲のなく青々としていた。
< 41 / 211 >

この作品をシェア

pagetop