合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
出会い(四)
さすがにイラっとした私がルカに言葉を返したのだが、どうやら向こうにも聞こえていたようだ。
無関心だった母が、鼻で笑っている。
ここまでくれば、売り言葉に買い言葉だ。
前までの私なら言い返すことなど、絶対にしなかった。
だからと言って、ずっと我慢しているのにも限界がある。
喧嘩を買う気はこれっぽっちもなかったのだが、これ以上突っかかるってくるならば、話は別だ。
「あら、ごめんなさい? 低俗なのがうつると言った方がよかったかしら? あまりに聞きなれない言葉ばかり言っていたもので」
口元を抑え、小首をかしげながらニヤリと笑う。
一度やってみたかったのよね、ミアの真似。やっている自分が笑い出すのを必死にこらえる。
「なんなの、あんた一体、何様のつもり」
「いい気になっているんじゃないわよ」
「嫌だわ。このお店はいつから動物小屋になったのかしら。だいたい、何様って、自分たちは何様のつもりなのかしら」
彼女たちのキーキーと叫ぶ大きな声を聞きつけたのか、すぐに数名の店員が下からやって来る。
「どうされました、お客様。わたくしは、オーナーのワイズと申します」
オーナーと名乗る人物が、真っ先に母の元へ駆け寄る。
「ここは静かだったから、とても気に入っていたのだけど、ホント残念ね」