合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
9章
再会(一)
馬車を30分ほど走らせると、王城へとたどり着いた。
王城は白を基調とし、ゴシック建築の大聖堂のような造りに似ていた。
侯爵家も随分大きな建物だと思っていたが、城の大きさは比較対象にすらならない。
一人では迷子になるのも簡単そうだ。
今までも何度か来たことはあるのだが、記憶を取り戻してからは初めてなので、また違って見える。
馬車を降りた私たちに、グレンが軽く手を上げた。
グレンの横には不服そうな表情を隠さない、ミアがいる。
ミアはグレンから送られたという萌黄色のふわふわしたAラインのロングドレスを身に着けていた。
グレンの瞳の色に合わせたドレスは、ミアによく似合っている。
しかし、この差はなんだろう。
自分の婚約者には落ち着いた控えめなドレスを送っているのに、私にはこんな流行の最先端か何かは知らないが、太ももの見えるドレスを着させるなんて。
「お待たせして申し訳ありません、グレン様。少し仕度に手間取ってしまいまして」
よそ行き用の敬語を使い、丁寧にお礼を言いながらも嫌味を混ぜる。