合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

再会(五)


「……はぁ。やりすぎたな。行こう、ミア」

 何がやりすぎなのだろう。私にはさっぱり分からない。

「わたしもお友達のとこへ行ってくるけど、あなただけだと少し心配ね」

 扇をパタパタさせながら、母まで訳の分からないことを言い出す。

「お母様、私は子どもではないのですよ? 一人でもちゃんと待てますけど」

「はぁ、子どもではないからよ。全く、自覚がないのも困ったものだわ。これ、貸してあげるから、顔隠しておきなさい」

 母は自分の持っていた扇子を手渡す。

 扇子など、どうするのだろうと思いつつ、とりあえず受けとる。

 顔を隠したら前が見えないではないか。

「踊る気もないので、何かつまみつつ、壁の花と化していますので大丈夫ですよ」

 母はため息をつくと、歩き出した。

 私はお目当ての食べ物の元へ向かう。

 基本、夜会は立食形式になっている。飲み物を受け取り、今日は何があるか眺めた。

 食べ物へ向かう人は少ないので、ここならグレンを待つのにもちょうどいいだろう。

 やはり王宮の食べ物だけあって、品数はとても多い。

 一口大のケーキやクッキー、焼き菓子などの甘いものから、同じような大きさに切ってあるお肉やお魚などが置いてある。

 しかも誰も手を付けていないため、まさに選びたい放題た。

 と言っても、さすがにホテルのバイキングのようにたくさん取るわけにはいかないなぁ。

 ん-。一応侯爵令嬢らしく、ここはケーキ二個ぐらいで我慢するしかない。

 でもコレだけあると、どれにしようか迷ってしまうな。

 それでもチョコレートケーキは外せれないと思い手を伸ばしたところで、後ろから声をかけられる。
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