合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

婚約(七)


 二人の会話がイマイチ分からないが、何かを賭けていたか何かだろう。

 それにしても、今の税の話からどこに繋がるというのか。

「ソフイア、君に婚約を申し込みたい。いいだろうか」

 隣にいたキースが手を取り、見つめてくる。

 今まで見たチャラチャラした表情は微塵もなく、真剣そのものだ。

 その茜色の瞳に吸い込ませそうな感覚を覚える。

 いやいや、そうではなくて婚約って。え、そんなに簡単に決まるようなモノだっけ?

「え、急に何なのですか、婚約って。グレン、これは一体どういうことなの」

「キースが女の子は可愛いけど、結婚を考えるような相手はいないと前々から言っていてね。今の立場上、そういうわけにもいかないだろうと言っていたんだ。それで、どんな人なら考えれるんだと聞いたら、僕を女にしたような子がいれば考えてやると言ったものだからね」

 へぇそうなんだとでも、言うと思ってるのかしら人たちは。

「ちょっと待って、私がグレンの女版ってこと? 私、そんなに腹黒くもないけど」

「ソフィア、ちょっと待ってくれ。僕は知識のことを言っていたんだが……。これは少し話し合いが必要かな」

 びっくりして、つい本音が出てしまった。

 いやしかし、これでは褒められているのか、どうなのか分かりづらいんだけど。
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