合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
13章

手伝い(一)


 朝一番で出した手紙の翌日、私が屋敷ではという手紙に返事をもらい、キースから自分の執務室まで来てくれないかと返信が来た。

 ミアが花嫁衣裳の話し合いのために出かけたのを見計らい、私は急いで馬車に乗り込む。

 手には、昨日ルカと作ったお菓子の籠を持って。

 別にこのお菓子は下心があるわけではない。

 純粋に、思い出した記憶を元に自分が食べたいものを作っただけ。

 そしてそれが思いの外、美味しかったから、おすそ分けしに持ってきただけだ。

 キースが甘いものが苦手かもしれないということを考慮して、ブランデーのようなお酒をいれたプリンだ。

 そう、自分の甘いプリンを作るついでだったんだと、馬車の中で何度も呪文のように自分に言い聞かせる。

「お嬢様、到着しました」

 御者に馬車の扉を開けてもらい、城の裏手につけてもらう。

 門兵はいるものの、侯爵家の家紋の入った馬車で来ているため、もちろん止められることはない。

 庭園を横目に、演習場の横を通り、城へ入る。

 まだ数回した来たことがないため、キースの執務室と大ホール以外の場所は分からないが、それだけ分かれば今は大丈夫だろう。

 大きな赤い扉の前にいた騎士に話しかけ、中にいるキースの許可を取る。すると、勢いよくキースがドアを開けた。
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