合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~
休憩(四)
「私のことなら気にしなくても結構ですよ。出かけるのは、また今度でもいいですし」
「いや。これだけ終われば十分さ。あとは幸せいっぱいの奴が帰ってきたら、全てやらせればいい」
「……それもそうですね。彼はとーっても優秀ですから、これくらいすぐ終わりますね。一人幸せを満喫してますし」
「そうだろう?」
「ふふふ。ですね」
キースのいたずらっぽい笑みに、私もつられる。
幸せいっぱいなのだから、これくらいの仕事を残されても文句はないだろう。
「さぁ、そうと決まればとっとと出かけよう」
「はい」
キースが私の手を取り、立ち上がらせてくれる。
今朝届いたばかりの、仕立てたの濃紺のドレスはワンピースにも見えるシンプルなものだ。
これなら、街へ出ても大丈夫だろう。長時間座っていて、ややシワになっているドレスを払うと、キースにエスコートされるまま執務室を後にした。