オトメは温和に愛されたい
「また濡らされたら(たま)らねぇし、とりあえずこのままもう一方も、済ませる……」

 ひぇーっ!
 忘れられてなかったぁーーーっ!

 私は温和(はるまさ)がとっても几帳面で律儀な性格だということを失念していた。
 両足怪我して片足だけ、で終わるわけないです、よね……。

「あの……温和(はるまさ)、こっちはそれほど砂、入ってない気がする、んだけど、な?」

 恐る恐るそう言ってみたけれど、無視された。

「さっさと終わらせるぞ。マジで風邪ひく」
 
 結局抵抗(むな)しく、私はタオルを羽織らされた状態で、上半身裸の温和(はるまさ)からもう一方の足にも同様の拷問――じゃなくて処置を受けた。
 とはいえ、当初心配したような腹いせ的な酷いやり方でもなく……かといって、当然のように手加減もなくて。

 結論。
 すっごく痛かったですっ!

 洗い終わった頃には両膝がジンジンして曲げ伸ばしが(こた)える程度にはダメージ大で。
 私は涙目になりながら温和(はるまさ)に泣きついた。

温和(はるまさ)ぁ、ごめん。痛くて歩けない……」
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