オトメは温和に愛されたい
 薄く開いていた唇の隙間をすり抜けるように温和(はるまさ)の舌が入ってきて、こちらの反応を探るみたいに私の舌先を優しくくすぐる。

「ふ、あっ……」

 ギュッと目を閉じて温和(はるまさ)のキスを一生懸命感受する私の腰を、温和(はるまさ)がギュッと抱き寄せた。

「は、る、まさ……ぁっ」

 キスの合間を縫うように懸命に彼の名前を呼んだら、「もっと」って催促される。

「はるま、さっ、温和(はるまさ)っ、好きっ、大好きっ」
 温和(はるまさ)にしがみつくようにして、アナタが大好きだと連呼しながら、ぎこちなく彼の唇に自分のそれを押し当てる。

 温和(はるまさ)は、私からの幼稚園児並みのキスを受け止めて、大人のキスに導き直してくれるの。

 ちゅく、っと舌が唾液を絡めて(うごめ)く音に、目端にじんわりと涙が滲む。

 気持ち……いい。

 うっとりと熱に浮かされて、温和(はるまさ)に支えられて立っているのがやっとの私の耳元へ、
音芽(おとめ)、ベッド、行こうか?」
 彼自身も堪えきれないように掠れて艶めいた声音でそうささやいてきて、私は恥ずかしさに頬を染めながらも小さくうなずいた。

 初めての時は痛かったけど、今日も痛いのかな。

 温和(はるまさ)に手を引かれて、ほんの数歩先のベッドに向かいながら、グルグルとそんなことを考える。
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