初めての入院
びょういん
バスを降りると目の前に大きな建物がありました。

「お母さん。あれ、なに?」

「あれは病院っていうのよ」

それは、とっても大きな病院でけいにはまるでお城のように見えました。


病院に入ると、なかには、たくさんのひとでいっぱいでした。

大人も子供も、おじいいちゃんや、おばあちゃんくらいの人たちもいます。

けいや、お母さんのように普通の格好のひとたちにまじって…

まだ昼間なのに、もうパジャマを着て歩いてるひとたちがいました。

けいにはそれが不思議で、じーっと見ました。

それから、上から下までぜんぶ真っ白な服を着て、

ニコニコと笑っているひとたちがいました。

けいには、そのひとたちがお母さんみたいにとても優しそうに見えました。

「あのひと、だれ?」

「あれは、ナースさんって言うの」

そう優しく教えてくれたあと、

お母さんはナースさんのところにいって話はじめました。


しばらくして、お母さんが戻ってきました。

お母さんは、けいをトイレにつれて行きました。

お母さんは紙コップを出して、

「けい、ここにおしっこして」と少し悲しい顔で言いました。

なんで?

とけいは心のなかで、思いながらも素直にそこにおしっこをしました。


紙コップは、赤いおしっこでいっぱいでした。

お母さんは、それを見て驚きました。

なんで?

けいはまたそう思いました。

けいのおしっこは最近、ずっと真っ赤でした。

だから、いつも通りなのに…

お母さんが紙コップをナースさんに渡すと、

「けいくん、こっちにきてっ」

ナースさんがそう言いました。

お母さんは2回、うんうんって優しく頷いて、ついていくように手を振ります。


でも…

けいは、ほんとはいきたくありませんでした。

なんだか、むこうに怖いものが待っている、

そう感じていたのです。
< 2 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop