ナナシからの手紙
一軍と三軍
次の日、みおはお母さんに手伝ってもらって、髪をむすんでもらいました。

また一軍の女子たちがやって来て、

「すごーい。その髪型ってどうやったの?」

「お母さんがしてくれたんだ」

女子たちはじっと髪型を見ていました。

「今日、お家に行ってもいいー?」

「うん、ぜんぜんいいよ!」

女子たちがうらやましそうに見てるのが、みおには嬉しかったのです。

だから、気づきませんでした。

まるちゃんが遠くから見てたことなんて、、、


学校の帰りに一軍の女子三人を連れて家に帰りました。

お母さんは少し驚いた顔をしながら、

「いらっしゃい、あらあら、かわいい子ばかりだこと」

と言ったあと、

「まるちゃんは?」と聞きました。

みおは「今日はいないよっ」とさらっと言いました。

それを聞いた三人の顔から、一瞬、笑顔がなくなりました。

ひとりの女子がお母さんに聞きました。

「あの髪型、どうやったんですか? わたしもしてみたいです」

「うん、わたしも!」

「さんせーーー!」

お母さんは、「はい、はい、みんなちゃーんとしてあげますよ」

と言いながら友達を鏡のあるところに連れていきました。


ひとり残されたみおは思いました。

まるちゃんも誘ったらよかったのかな、でも、あまり髪型とか興味ないもんね。

そうそう、と小さくうなずくと、みんなのいる鏡のある部屋に向かいました。


次の日、待ち合わせして、みんなで登校しました。

全員が同じ髪型です。

歩いているとたくさんの人が振り返りました。

「ねぇ、みんな、見てるよ。私たち目立ってるねー」

私たち、、、か。

みおは少し嬉しそうにつぶやきました。

いつのまにか、彼女は一軍グループに入っていたのです。


お昼休み、みおがまるちゃんに声をかけに行こうとすると、

「えっと、思ってたんだけど、あの子と仲よしなの?」

女子のひとりが言いました。

「そうだよ!」

みおは嬉しそうに答えました。

「でも、まるこって、三軍だよね?」

「うん、まるこの見た目じゃねー」

え? まるこって、まるちゃんのことだよね。


みおは女子たちの会話を聞いて、ギクってしました。

それと、まるちゃんが三軍ってはじめて知りました。

「あの子って太ってるしさ。あと、なんか暗くない?」

まるちゃんの方を見ながら、話を続けています。

一軍の女子たちがまるちゃんを見る眼は少し冷たそうでした。

みおの歩きかけていた足は止まって、そこから前に進めませんでした。
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