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特殊メイクと言ってもいいくらい、ありとあらゆる技が駆使されたメイクを施され、値段を聞いたら袖を通すのも怖くなりそうな超高級ウエディングドレスを着つけられ……挙式開始二十分前。

なんとか「花嫁」になれた。

ジョージには、「信じらんない!」「何でこんなになるまで放っておけるのよっ!?」「は? 子どもの工作用ハサミで前髪切った? ナメてんのか」などと、恐ろしくもごもっともなお叱りを受けたけれど……ちょっとは女らしさを取り戻せた気がする。


「わぁ! 律さん、キレー! キレイすぎるでしょ!」


控室にわたしを撮影しにやって来た本日のカメラマン、偲月さんはベタ褒めだ。


「シゲオ、いい仕事したわっ!」

「うるさいわよ、偲月。わたしを誰だと思っているのよ。カリスマ美容師よ? どんな悲惨な状態からでも、世界一美しい花嫁にできるに決まってるでしょ」


ドヤ顔をするジョージにも、偲月さんは「はいはい、一歩手前じゃなくなったんだ。スゴイスゴイ」と聞き流し、取り合わない。

デジタル一眼レフ、レトロなフィルムカメラと道具を変え、角度を変え、バシャバシャとシャッター音を鳴らしてわたしを撮影し始める。

彼女は、ジョージが大げさに言っているだけだと思っているようだが、実際わたしの状態は「悲惨」のひと言に尽きた。

お肌のコンディションは砂漠レベル。どんなに水分を補給しても、あっという間に干上がってしまう。

業を煮やしたジョージに、「脱げや!」といきなり下着姿に剝かれ、顔だけでなくデコルテから背中まで、マッサージ、パック、とエステサロン並みの施術をされて、ようやくどうにかメイクができる状態になるまで、小一時間もかかった。

タイムリミットが迫る中、「パリコレでもこんなハイスピードの仕事したことないわ」とボヤきつつ、千手観音並みの手早さでヘアメイクを仕上げてくれたジョージには、いくら感謝してもし足りない。