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結婚式のあと、新郎新婦を乗せた車が空き缶を引いて走り去る……という昔ながらの演出の代わりに用意したのは、豪華なリムジン。

新婚旅行ならぬ新婚ドライブに出かける、というのは建前で、本当の目的は所長を夕雨子さんのところへ送り届けること。

新婚ドライブの邪魔をしたくないと渋る所長を幸生に誘わせて、無理やり乗せ、行き先は秘密にして彼女が入院しているホスピスへ向かっているところだ。

夕雨子さんには、あらかじめ午来弁護士を通し、わたしたちの結婚式の写真を送ると伝え、「ぜひ見せてほしい」との返事をもらっている。

直接の面会は断っている彼女だが、手紙や見舞いの品は相手を問わず受け取っているようだ。

――所長からの贈り物も。

午来弁護士が義父から聞いたところによれば、

『大鳥先生、週末の間、院長を通して自分が摘んだ庭の薔薇を夕雨子さんに贈っているらしい。名前を伏せて、三本ずつ。夕雨子さんは、誰からなのかわかっているようだが、突き返すことなく受け取っているそうだ』

とのこと。

女性に花を贈ったことなんてなさそうな尽は、「三本だと何か意味でもあるのか?」と首を傾げたが、午来弁護士はちゃんと知っていた。


『三本の薔薇の花束は、「愛してる」って意味だよ』