逆プロポーズした恋の顛末


そうして思いがけず立て続けに主人を失った家は、当初、解体して更地にし、売りに出そうという話になっていた。

内部をリフォームしているとはいえ、かなり年季が入っているし、買いたいという人も現れないだろうと思われたからだ。

しかし、薔薇を処分するのがどうしても忍びなくて、尽のご両親と話し合い、わたしたち家族が住むことにした。

ちょうどわたしが二人目の子、晴旭を妊娠していることがわかり、2LDKのマンションでは手狭になるとあって、タイミングもよかった。

外壁や屋根は修復が必要だったけれど、基礎がしっかりしているので、あれから二十年経っても問題なく住めている。


(今日の夜にでも、今後の薔薇の世話について、尽と相談しなくちゃね……)


それまでに、引き受けてくれそうな業者や人材派遣会社、便利屋などを探しておこうと思いながら、裏口から家に入って手を洗い、お茶でも飲もうと戻ったリビングで、思いがけない客に出くわした。


「律ママ! お邪魔してます」

千陽(ちはる)ちゃん……? いらっしゃい」

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