逆プロポーズした恋の顛末
忘れられなかったひと

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「それにしても……よく食べたなぁ」


お風呂から上がった所長は、リビングの隣にある客間で眠る幸生を見て、くすりと笑った。

所長の家にお泊まりするのはよくあることなので、幸生とわたしのパジャマや予備の着替え、洗面道具は置きっぱなしになっている。
お風呂からあがった幸生が、髪を乾かしている間に寝落ちしても、困ることはなかった。


「食べすぎで、明日お腹が痛くならないといいんですけど……」


お風呂場で見た幸生のお腹がパンパンに膨らんでいたのを思い、しかめ面になってしまう。


「時間をかけて食べていたし、それほど心配することはないと思うが……。ま、医者が二人いるんだし、何かあっても対処できる。大丈夫だよ」

「そうですね」

「もし、幸生くんの様子が気になるなら、わたしの部屋に連れて行こうか」

「え! いえ、そんな……」

「その方が、尽とゆっくり話せるだろう」

「…………」

「幸生くんの父親は、尽だね?」


念を押すように言われ、頷くしかなかった。


「……は、い」


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