それは高校最後の冬休み、クリスマス前のことだった。



『実はエマお嬢様が食事を何ひとつ取らないんです。申し訳ないのですがアリサ様、来てはいただけませんか?』



真冬くんから入った1本の電話。

あんなにも元気で賑やかで勉強より3度のご飯なエマが食事を取らない、だなんて。


御子柴さんにはお留守番を頼んで、すぐにわたしはエマの寮へ向かった。



「エマ、大丈夫?ほらご飯いっぱいあるわ。あなたが好きなものよ?」


「うん、いらない…」


「……真冬くん、お粥を作ってもらってもいいかしら」



「わかりました」と、すぐにキッチンへ立ったエマの専属執事。


これはただ事じゃない…。

何があったのか理由すらエマは話せない状態だし、2日は飲み物やゼリーしか口にしてないという。

そんなのはエマからしたら緊急事態だ。



「エマ、お粥よ?よく風邪のときはタカさんに作ってもらっていたでしょう?ほら食べて」


「うん、いらない…」



一点を見つめて同じ返事。

口を小さく開いて答えるだけだし、無理矢理に開けさせて食べさせるわけにもいかない。