俺の好きにさせてください、お嬢様。




ちょこちょこ歩き回る3歳ほどの男の子。

お母さんは確かに大変かもしれない…。
だからあれもナシではないのかな…?


見てて可愛いけど…ちょっと可哀想でもあるかも。



「あっ!ハヤセ!向こうに本屋さんある!」


「お待ちくださいエマお嬢様、」


「あーーっ!あっちはケーキ屋さんだって!」



こうして百貨店に足を運ぶことは多くはない。

学校から少し遠い場所だし、なにか必要なものがあったらわたしが向かうよりも執事が揃えてしまうような日常だから。


それでも今日だけはショッピングがしたいと、わがままを言って聞いてもらっているわけでして。



「あの、すみません」


「えっ、私ですか…?」


「はい。少しお聞きしたいのですが…」



思わずピタッと、少し先で足が止まった。

だってハヤセがハーネスを付けた男の子のお母さんに話しかけちゃったんだもん。


その女性はキラッと瞳を輝かせて、仄かに頬を赤くさせていた。



「そのハーネスとリードはどこに売っていますか…?」


「これ、ですか…?これなら5階のベビーグッズのお店に…」


「ありがとうございます」



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