天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
第一章

赤い衣

【人間界】


牢から無事脱出した白蘭と紅蓮は街外れの家へと帰ってきた。


「ねえ。ここにいても大丈夫なの?」

「ああ。先ほどでよくわかった。法術は人間にさえ使わなければ多少使っても良いということだ」


何を言っているのかよくわからないが、紅蓮がそういうならば大丈夫なのだろう。


入ると家の中は衛兵に荒らされていた。


「まったく本当にとんでもないわね。勝手なんだから」


一つ一つ手で物を元の位置に戻す白蘭を見て紅蓮は声をかけた。


「白蘭、私に任せろ」

「紅蓮一人に任せていたら日が暮れちゃうわ」

「いいから」


手をひかれ家の外に連れ出される。


どういうこと?と彼を見上げると紅蓮が法術を纏った手を一振りした。


するとバタバタと散乱した物が元の位置に自ら戻っていった。


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