今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

俺だけ見て。〜side 久遠〜

「く、久遠くっ……」

「……」

天音はまた、俺に話しかけてくる。

俺の気持ちなんて知らずに。





俺と天音は本当は幼なじみで、小さい頃からよく一緒に遊んでいた。

天音はいつも俺にとっても優しくしてくれて、金持ち一家である俺にとっての癒しであった。


遊んでいた理由というのは、俺の母親と天音の母親が昔からの友達だからだった。

最初は遊ぶのなんてだるすぎて、天音への態度もそっけなかった。


けれど天音は、そんな俺なんてどうでもいいのか普通に接してきた。

それにすらイラついて、


『なんでそんなにずっとにこにこ笑ってんだよ』


と強く聞いてみると、またにこにことしながら


『久遠くん、久遠くんのお母さんの前ではいい子になれるように頑張って見えたから、いま私の前では素を見せてくれて嬉しいなぁって』


そんなこと、人に初めて言われた。

おかしいくらいだと思った。

こんなに心が広くていいものか。

それから、優しい天音に甘えるように俺は仲良く遊んでもらっていた。


いつしか“友情”というよりも“恋愛感情”を抱いて接するようになったが、小学校に上がるに連れ、俺はくそみたいなエリート校へ。


天音は公立に行ったため、接する機会が切れたのだ。


でもその間ですら天音をずっと思っていた。


やっと街で会えたと思えば、不良に絡まれてるし、ひさしぶりに見た天音は相変わらずの天使オーラを放っていたが、相当な美人になっていて正直びびった。



あれだけ幼い頃可愛かったのだから、美人にはなるだろうと思っていたが、ここまでとは。


そして、不良から助けると、天音は天使のような笑みを浮かべて、俺にお礼を言った。


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