ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
あなたとあの人
【五、あなたとあの人】


 遊園地に出かけた日を境に、蒼斗と蒼さんの距離がぐんと縮まった。

 それまでは私にしか手伝わせてくれなかった食事のフォローを、蒼さんに求めるようになった。

「とうしゃん、ここ」

 いつもは私が隣に座り正面に蒼さんが座る。それなのに、ここ数日ほぼ毎日と言っていいほど蒼さんに隣に座るよう指示する。

 おかげで蒼さんはほとんど朝食を口にできないままタイムリミットを迎え、行ってほしくないと泣き叫ぶ蒼斗の声をBGMに身支度を整えて家を出て行く。

 引っ越して一ヶ月が過ぎたが、まさかここまで蒼さんに懐くとは予想していなかっただけに、喜びより驚きの方が大きい。

「蒼斗は蒼さんが好き?」

 満面の笑みでこくこくと首を縦に振られてしまっては、抱きしめられずにはいられなかった。

「ママもね、蒼斗と蒼さんが大好きだよ」

 これでもかというほど熱い想いを込めて伝えたのに、テレビから流れる幼児番組の音楽に気を取られた耳には届いていないようだった。
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