ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
番外編 何気ない日常の幸せ
【番外編 何気ない日常の幸せ】


 すぐに入籍を済まそうと意気込む蒼さんをなだめて、そこはきちんと順序立てていこうと説得した私が今日訪れたのが大槻家だった。

 事前に蒼さんから両親へすべてを話し、結婚の承諾を得ていたとはいえかなり緊張した。

 子供までいるのだから認めるしかないよね、と悲観的に捉えていたのだが、実際にお会いした蒼さんの両親はとても温かく私と蒼斗を迎え入れてくれた。

 ふたりとも子供が好きなようで、初孫の蒼斗を前に幸せそうな笑みを終始たたえていた。

 次は蒼斗がもっと小さかった頃の写真を持ってくると約束もしたし、良好な関係を築けていけたらいいなと思う。

 蒼さんの実家である都内の高級住宅街にある一軒家を後にして、マンションへ直帰するものとばかり考えていた私は首を捻る。

「どこかに寄るの?」

 後部座席では、慣れない環境で疲れ果てた蒼斗がすやすやと眠っている。
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