一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
 ――私が『Lorelei(ローレライ)』で働いているとか、有名なデザイナーだったら、自分がデザインした服を着ていられたはず。

 卒業したての駆け出しデザイナーとはいえ、卒業生の中には、すでに名前を知られ、『Lorelei(ローレライ)』で働いている人もいる。

 ――私、才能ないのかな。このまま、結婚してデザインの仕事を諦める?

「乾井さん。仕事のことなら、お気になさらず。この子は仕事を遊びでやっているんですよ」
「ち、違います! 私は本気で……!」
「今日も安っぽい生地のワンピースを着てきて、自己満足もいいところでしょう? 『Lorelei(ローレライ)』のスーツに着替えさせたら、機嫌が悪くて、本当に困った子」
「ああ、それであまり話さないんですね」

 継母は私の傷ついた顔を見て、くすりと笑う。

「それに比べて、啓雅さんは琉永さんにもったいないくらいの方よ。お仕事ができて経営手腕も確かだし、女性にもすごくモテるの」
「そんなことはないですよ」

 継母の言葉に、啓雅さんは澄ました顔をしながら、にやりと笑ったのを私は見逃さなかった。
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